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学校の英語授業だけでは足りない理由:日本の英語教育の現状とデータ

「学校で英語を習っているから大丈夫」——そう思っていても、なんとなく不安を感じているあなたへ。

日本の子どもたちは中学・高校と6年間(小学校を含めると8〜10年間)英語を学びます。それにもかかわらず、「英語が話せない日本人」は依然として多いとされています。この記事では、データをもとに日本の英語教育の現状を整理し、学校の授業を否定するのではなく「家庭での補完が効果的な理由」を考えていきます。


日本人の英語力は世界で何位?

英語教育機関EFが毎年発表する「EF英語能力指数(EF EPI)」は、世界各国・地域の成人の英語力をテストスコアで比較したレポートです。

2024年版(EF EPI 2024)によると、日本の総合スコアはアジア圏で16位、世界113か国・地域中87位というデータがあります(出典: EF EPI 2024)。これはフィリピン(22位)、マレーシア(24位)、シンガポール(11位)など、同じアジアの多くの国・地域を下回る水準です。

順位だけを見ると衝撃的に映りますが、重要なのは「なぜこの順位になるのか」という構造的な背景です。


学校英語の授業時間はどのくらい?

文部科学省の学習指導要領によると、英語の標準授業時間数はおおよそ次のとおりです。

学年週あたりの授業コマ数(目安)年間の授業時間(目安)
小学校5・6年生2コマ(外国語)年70単位時間(2020年度〜)
中学校(1〜3年生)週3〜4コマ年105〜140単位時間
高校(必修)週2〜4コマ年70〜140単位時間

(出典: 文部科学省 学習指導要領 2017年改訂・2020年度実施)

週2〜3コマというのは、1回あたり45〜50分の授業が週に数回という水準です。英語以外にも多くの教科を並行して学ぶ学校の環境では、英語だけに集中できる時間は決して多くはないといえます。


「読む・書く」偏重の構造的問題

従来の学校英語は、文法訳読を中心とした「読む・書く」偏重のカリキュラムだったとされています。これは大学入試が長らく筆記・読解を中心に設計されてきたことと深く関係しているという見方があります。

その結果として、次のような傾向が指摘されています。

  • 読解・文法の理解はある程度身につく一方で
  • 「聞く・話す」のアウトプット練習が圧倒的に少ない

英語でコミュニケーションを取るうえで欠かせない「咄嗟に英語で話す」「ネイティブの話すスピードで聞き取る」といったスキルは、インプットだけでなく大量のアウトプット練習が必要とされています。学校の授業内でその機会を十分に設けることは、クラスの人数や時間の制約から難しい面があるとされています。


2020年の小学校英語教科化:変わったことと変わらないこと

2020年度から、小学校5・6年生の英語が「外国語活動」から**「外国語(教科)」**へと格上げされました。これにより、成績評価がつくようになり、年間の授業時間数も増加しました。

この変化は、日本の英語教育を「より早く・より本格的に」しようとする政策的な意図を反映しています。「グローバル化が進む社会で通用する英語力を育てたい」という方向性は明確です。

一方で、次のような課題も指摘されています。

  • 担任の先生が英語の専科教員でない場合も多く、指導の質にばらつきがある
  • 授業時間が増えても、クラス全体での練習が中心であるため、一人ひとりのアウトプット機会は限られる
  • 教科化されたとはいえ、週2コマという授業数そのものは変わっていない

教科化は確かに前進ですが、それだけで「英語が話せる」レベルに届くかどうかは別の問題といえそうです。


英語を「使える」レベルにするために必要な学習時間

英語力の国際標準指標として広く参照されているCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)では、英語を実用的に使えるレベルの目安が設定されています。

日本の大学受験・就職で求められることが多い「B1〜B2レベル(中上級)」に到達するためには、英語を外国語として学ぶ場合、おおよそ600〜1,200時間の学習時間が必要とされています(出典: CEFR関連研究・JACET英語教育研究)。

では、学校英語だけでこの時間数を確保できるか、概算してみます。

  • 小学5・6年生の2年間: 約70時間 × 2 = 約140時間
  • 中学3年間: 約105時間 × 3 = 約315時間
  • 高校3年間: 約70〜105時間 × 3 = 約210〜315時間
  • 合計(概算): 約665〜770時間

数字だけ見れば、学校英語だけで上記の目安に届きそうに見えます。ただし、ここには次のような前提があります。

  1. 授業時間のすべてが「英語を実際に使う練習」である
  2. 授業中の集中度・理解度が一定以上である
  3. 聞く・話すのアウトプット練習が十分に含まれている

実際には授業時間の多くが文法説明・読解・テスト対策に充てられることも多く、「使える英語」の練習時間はこの数字より少なくなるという見方が一般的です。


学校英語を補完する方法を考える

ここまでのデータをまとめると、次のことが見えてきます。

  • 日本の英語教育は、「読む・書く」の基礎力を育てることに強みを持っています
  • 一方で、「聞く・話す」の実践練習は授業の制約上、十分に確保しにくい面があります
  • 英語を実用的なコミュニケーションツールとして使うには、学校外での練習機会が助けになる可能性があります

学校の授業が「ダメだ」ということではありません。文法・語彙・読解の土台は、学校教育で着実に築けるものです。その土台を活かしながら、「聞く・話す」のスキルを家庭や習い事で補う、という組み合わせが、多くの子どもにとって現実的な選択肢の一つとされています。

英語を「教科の勉強」から「使える道具」へと育てるヒントは、日常の小さな積み重ねにあるかもしれません。


まとめ

視点現状
国際的な英語力EF EPI 2024で世界87位(出典: EF EPI 2024)
学校の授業時間週2〜3コマ(小学〜高校)
カリキュラムの傾向「読む・書く」中心、「話す・聞く」は限定的
小学校英語教科化2020年度〜。時間増・評価導入。一方で課題も継続中
必要な学習時間(B2目安)600〜1,200時間(出典: CEFR・JACET研究)

学校英語は子どもの英語力の大切な基盤です。ただ、「話す・聞く」を伸ばすには、学校の外での実践機会を意識的に作ることが助けになるとされています。まずは、お子さんの今の学習環境を見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。


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